イヌブルセラ症
動物からヒトにうつるブルセラ症のうち、イヌブルセラ症は最も軽症とされる。わが国には1970年頃、輸入された繁殖犬によって持ち込まれたと考えられる。
病原体:
イヌブルセラ菌(Burucella canis)。
保菌動物となる愛玩動物:
イヌ。
愛玩動物における発生状況:
家庭で飼育されているイヌにおける感染率は明らかではないが、動物愛護センター等に保護されたイヌの調査結果によると数%程度が過去に感染したことを示す抗体を保有している。イヌからイヌへは交尾等によって伝播し、時としてイヌの繁殖施設において集団発生がみられる。このような繁殖施設からペットショップを経て保菌犬が購入される可能性がある。
患者発生状況:
家畜由来ブルセラ菌(感染症法に基づく4類感染症)に感染したことが確認される患者はきわめてまれである。中でもイヌブルセラ症の症状は軽い場合が多く、感染を自覚しない感染者がどのくらいいるのかは不明である。イヌと濃密な接触をすることの多い獣医師に抗体陽性者が散見されるが、この場合も抗体検査によって感染に気づくことがほとんどである。
愛玩動物から人への伝播:
イヌブルセラ菌は、尿や精液、感染犬が流産した場合は流産胎児や汚物に排泄されることが知られている。このため、分娩の介助や死流産した胎児を取り扱うことによって感染する可能性がある。原因菌が傷口や粘膜から侵入したり経口的に侵入することにより感染する。
臨床像と治療:
潜伏期間は通常1-3週間で、その後、発熱、発汗、悪寒、倦怠感、頭痛などのカゼ様症状を呈することがある。しかしこの菌はヒトに対しては病原性が弱く、発症することはまれである。
発症した場合は他のブルセラ属菌感染の場合と同様に抗生物質を用いた治療が行われる。
愛玩動物の衛生管理と人への感染予防:
動物用、人用ともにワクチンはない。
イヌの購入に当たっては、死流産の発生がなく、生まれた子犬の発育が良好な信頼のおける繁殖所やペットショップを利用する。愛護センター等から入手する場合にはブルセラ感染の心配のない動物であることを確認し、愛護センターも検査体制を確立することが望ましい。
飼育に当たっては、健康不良犬との接触を制限する、健康不良犬との接触を避けるため放し飼いを行わない、などが必要である。
厚生労働省「愛玩動物の衛生管理の徹底に関するガイドライン」より抜粋

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